2020年01月31日

更新情報

「桜のワルツ」の更新情報です。
直近で10件のみ表示しています。

2017年3月14日  いただきもの(イラスト)
藍さまより「桜のワルツ」移転記念として高彬&瑠璃のイラストUP

2017年3月14日  いただきもの(小説)
瑞月さまとあさぎさまのコラボ作品「秋風〜さやかの秋〜」UP

2017年3月14日  「桜のワルツ」移転完了
ご連絡 「桜のワルツ」移転完了です!UP
posted by アルシュ at 00:00| Comment(0) | 更新情報

2020年01月20日

はじめに

こちらは「なんて素敵にジャパネスク」の高彬×瑠璃のカップリングを応援し、二人の話を中心に二次創作小説を書いているブログです。
原作者、出版社、関係各社(者)等とは一切関係ありません。

また、二次創作を不快に思われる方は申し訳ございませんが、ご覧にならないようお願いいたします。

当ブログ内の文章および、内容については、すべて無断転載禁止になっております(アルシュ作フリーSSのみ除く)
著作権はアルシュにあり、またいただきものの作品につきましては、ご提供くださった方々に著作権がございますので、よろしくお願いいたします。

この度、「桜のワルツ」は、更新頻度の低下、サイト内をスリムにするため、サイトからブログへ移行しました。
ブログの性質上、新しい作品から表示されますが、高彬×瑠璃の短編、長編等は一覧表(リスト)も作っていますので、そちらもぜひご活用下さいませ。

「桜のワルツ」は2004年10月19日に開設しました。
「なんて素敵にジャパネスク」という作品を中1の時に初めて読んで以来、ずっと好きな作品です。
サイトを開設して、もう12年も立ってしまい、二人のらぶらぶを書ききってしまったのもあって、新しい作品をなかなか書いていませんが、心機一転で少しずつでもまた書けたらいいなと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


<リンクについて>
「なんて素敵にジャパネスク」のファンサイト(ブログ)でしたら、リンクフリー・アンリンクフリーです。
貼るも剥がすもご自由にお願いします。
また、相互リンクにつきましては、申し訳ございませんがメールフォームにてご連絡願います。

サイト名:『桜のワルツ』
URL:http://sakura-waltz.sblo.jp/
ジャンル:『なんて素敵にジャパネスク』ファンサイト 高彬×瑠璃中心
管理人:アルシュ(流佳 亜瑠樹)

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※当サイトのバナーです。ダウンロードしてお使い下さい。

posted by アルシュ at 00:00| Comment(0) | ご連絡

2017年04月20日

春の競作大会作品をUPしました

みなさま、こんにちはv
ご無沙汰しております。
関東南部では長い期間咲いていた桜もとうとう葉桜になってしまいました。
ここ数日、夏のような暑さでしたが、今日はまだ春らしい気温ですね。
ただ、スギ花粉が終わって、ホッとしていたのに、どうやらやはりヒノキにも反応しているようで、スギよりはマシですが、目も鼻も微妙な感じです。。。

昨日になってしまいますが、「らぶらぶ万歳サークル」にて、第四十八回春の競作大会の作品をUPしましたv
今回のお題は「蝶」ということで、私は「一羽の蝶」という作品を提出しました。
今回もすごく素敵な作品が集まり、そしてご復活された藍さんの新作素敵イラストもありますので、みなさま、ぜひぜひサークルの方へ遊びにいらしてくださいね(*^▽^*)

私はというと、作品の後書きにも書いたのですが、瑠璃さん目線で書いてしまったことを、激しく後悔しております(汗)
いつもはその辺をミスったりしないのですが、あわてて書いたせいなのかもしれません(涙)
やっぱり素直に高彬目線で書けばよかったと、書き終えてから思ってしまいましたが、時間がもうなかったのでそのまま提出してしまいました。。。
時間があれば、ここで高彬目線で書くか、作品の追加でも書けたらいいなと思ってます。

そんなわけで、私のは微妙ですが、メンバーのみなさんの作品は素敵ですので、ぜひぜひご覧くださいねv
posted by アルシュ at 12:35| Comment(0) | ご連絡

2017年03月14日

「桜のワルツ」移転完了です!

みなさま、改めましてこんにちはv
「桜のワルツ」管理人のアルシュです。

この度、「桜のワルツ」はこのブログへ移転しました。
「桜のワルツ」のトップページや「アルシュの自由日記」でも書きましたが、サイトの更新低下に伴い、サイト内をスリムにしたいということと、作品の壁紙に貸していただく素材サイト様も年々閉鎖や停止され、背景画像をお借りする時間もかかるようになったことなどから、今後の更新に関して少しでも手間を減らし、そして今後は二次創作の作品以外で、サイト内にて発表することもないだろうなと思ったことで、今回踏み切りました。

今回、移転作業をしていて、なんだかんだで色々な作品を書いてきたな〜と、改めて思いました。
そして、長編の1章を1話と考えたら、何気に次世代編が高彬×瑠璃よりも多いことに気付いたり。
コピペ作業がほとんどでしたが、ただコピペするだけなのに、そこそこ時間がかかってしまって大変申し訳ございませんでした。。。

今までと違って、作品を探すのは少し手間がかかってしまうかもしれませんので、それぞれに作品リストを作りました。
作品リストはカテゴリ欄に展示してありますので、そちらからお願いします。
そして今までとは違い、新しい作品が一番上にあり、一番古い作品が一番下にあります。
また、連載物については、太字で作品名が書いてあって、太字の下に各話のリンクがあります。

完成した作品リストを見て、ちょっとわかりづらいかなあとは思っているのですが、前々から新しい作品が一番上に来た方がほとんどの作品を読んでいただいている方々にはすぐに読めるかなと思っていたので、ちょっと変えてみました。
問題がありそうなら、また考えてみます。

また今までジャパネスク関係の更新情報等は「アルシュの自由日記」でも書いてきましたが、今後はこちらで公開し、「アルシュの自由日記」はプライベート用の日記として運営していきます。

最後に、更新情報として、「桜のワルツ」の12周年記念ということで、瑞月さまとあさぎさまからとっても素敵なコラボ作品「秋風〜さやかの秋〜」を頂きましたv
「桜のワルツ」は10月に開設しているので、秋のお話になっているのですが、移転作業が長引いたせいでこんなに遅くなってしまいました。
お二人とも、本当に本当に申し訳ございませんでした。
お話は本当に素敵で、お二人が瑠璃と高彬の視点でそれぞれを書いてくださっていて、高彬の気持ち、瑠璃さんの気持ち、それぞれを感じることが出来て、そして二人の強い絆をすごく伝わってくるとっても素敵な作品です。
みなさまにもぜひぜひご覧になってもらえたら、とてもうれしいです(*^▽^*)
改めて、瑞月さん、あさぎさん、本当にありがとうございましたv

そして、いつも素敵なイラストをお描きになる「花の宵夢アンコール」の藍さまより、とっても素敵な瑠璃と高彬のイラストも「桜のワルツ」の移転記念として頂きましたv
満開の桜の下、瑠璃と高彬の二人のらぶらぶがすごく伝わってきて、とても素敵なイラストです。
こちらも、ぜひぜひご覧になってもらえると、とてもうれしいです。
藍さん、本当にありがとうございましたv

心機一転で、これからも「桜のワルツ」は細々と続けていきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
posted by アルシュ at 16:03| Comment(6) | ご連絡

高彬&瑠璃

アルシュ様へ.jpg



とっても素敵なイラストをお描きになる「花の宵夢アンコール」の藍さまより、
「桜のワルツ」の移転記念として、とっても素敵なイラストを頂きましたv
緋色の衣を纏った瑠璃さんの笑顔がとてもかわいくて、
そんな瑠璃さんを優しく見つめる高彬がすごくかっこいいですよねv
満開の桜の下、お花見をしている二人を見ていると、すごく癒されますv
藍さん、お忙しい中、こんなに素敵なイラストをありがとうございましたv

2017.3.14
posted by アルシュ at 01:00| Comment(2) | いただきもの(イラスト)

秋風〜さやかの秋〜

「桜風〜さやかの秋〜」




<瑞月・著>



秋の日の柔らかい陽射しが降り注ぐ昼下り───

日のあるうちに宮廷を後にするのは久しぶりだ。

都大路には、牛車を引く牛飼い童の掛け声や、行商人の威勢の良い物売りの声が飛び交っている。

聞くともなしにその声を聞いているうち、いつしか瞼が重たくなってくる。

ここのところの激務と二日連続の宿直でさすがに疲れがたまっているのだろう。

三条邸に着くまで、まだ間がある。

少し眠ろうと襟を緩めると、ぼくは腕を組み目を閉じた。



***************




カタンと言う音で目を覚ます。

物見窓を開けると見慣れた三条邸の車宿りで、少しだけのつもりがどうやらすっかり寝入ってしまったようだった。

簾が巻き上げられ出て行くといつものように小萩が出迎えてくれて────

おや、と思う。

出迎えたのは小萩ではなかった。

かと言って瑠璃さん付きの他の女房というわけでもなくて、つまりは初見の女房なのだ。

ちゃんと先触れは出しておいたはずなのにおかしいな・・・・

密かに首を捻りながら渡殿を歩いて行き、角を曲がったところで(何かあったな)と、ピンときた。

遠目から見ても女房の出入りが激しいし、その喧噪がここまで聞こえてきている。

更に部屋に近づいたところで予感は確信に変わった。

室内からは混乱と言うのか困惑と言うのか、ともかく騒ぎ立てる声が聞こえ、良く聞いてみたら「あぁ、どういたしましょう」だの「もういらっしゃるわ」などと言っているようだった。

「しょ、少将さま!」

部屋に入って行くと、小萩はぼくの顔を見るなりビクっと震えあがり、そうしていきなりガバとひれ伏した。

その姿を見た他の女房たちも右へならえで皆、平伏し、ぼくはその中でポツンと立つはめになってしまった。

「ど、どうしたのさ、小萩・・・」

唖然として呟くと

「申し訳ございません、少将さま。実は姫さまはまた・・・その・・・お庭に降りられるとおっしゃられまして・・・。本来ならばわたくしがお止めしなければいけないのですが・・・」

「・・・・」

「じきに少将さまがおいでになるからと申したのですが、姫さまは『平気、平気、すぐ戻るから』とおっしゃって・・・」

「なのに、まだ戻ってきてない、と」

「はい・・・」

ふむ。それで女房総出で瑠璃さんを探していたというわけか。

「瑠璃さんが庭に降りたのはどれくらい前だい?」

「・・・・小半刻ほど前でございましょうか」

なるほど。

小半刻くらいじゃまだ帰ってこないかも知れないな。

「本当に申し訳ございません」

またしても小萩は額を板張りの床にこすりつけんばかりに平伏し、どうやら小萩はぼくからこっぴどく怒られることを懸念していたようだった。

本当に小萩も苦労性だ。

・・・ま、ぼくもだけど。

「仕方ないさ。小萩が止めても聞くような人じゃないからね。気が済めば戻ってくるだろう。少しここで待つとしようか。小萩たちは下がってていいよ」

女房らがいなくなると、さっきの喧騒が嘘のように静かになった。

主のいない脇息がポツンと置かれている。

まったく瑠璃さんは。

脇息を軽く叩いてから引き寄せ、寄りかかる。

何が「平気、平気」だ。平気なわけないじゃないか。

これは戻ったらお説教だな・・・。

そんなことを思いながら庭を眺めているうち、やはり探しに行こうと思いたつ。

部屋に戻ってくる瑠璃さんは、当然、ぼくがいるのを見越してやってくるだろう。

瑠璃さんのことだ、ぼくに怒られることを予想して反論する言葉だって考えているかも知れない。

そうしてぼくはやり込められ、うやむやにされて───

だめだ、だめだ。

ぼくは頭を振った。

瑠璃さんに心構えがあったら、せっかくのお説教も効果は半減、どころか、逆転勝利に持ち込まれる可能性だってある。

ここはやはり奇襲攻撃を掛けなくては───

ぼくは沓を持ってこさせると、階から庭に降りた。



<あさぎ・著>



分かってはいたのよ。もうすぐ高彬が来るって事は。

だけど、どうにも落ち着かない気になってしまって、あたしは部屋を飛び出し目当ての場所へと向かっていた。

朝からずっと穏やかな空合いだったのに、ついさっきから急に風が出てきて、さわさわと庭の木々を揺らしている。

その音を聞くにつれ、もしもこのまま雨でも降ったら、野分なんかが来たりしたら・・・

なんて考え始めた途端、じっとしてられなくなってさ。

止めようとする小萩の声を聞き流して、少しの間と庭に下りてきた。

とにかく今、手遅れになる前にちゃんと会っとかなくちゃ。

もし高彬に見つかって怒られたって、その時はその時よ。

まあ言い訳位は、ちゃんと考えとかなきゃいけないかしらねぇ。

でももう、その角を曲がれば見えてくるはず・・・。

あたしは一旦足を止めて乱れた呼吸を整えると、勢い込んで一歩を踏み出した。



「・・・・よかった!」

目の前に広がる景色に、思わず溜め息をもらす。

ここは、三条邸の東の外れ。

殆ど敷地の端に近いような場所に、たくさんの桜の木が並んでいた。

深い紅に色付いた葉を繁らせて、まるで奥深い山の中から小さな森が移ってきたような、どこか特別な気配を漂わせている。

楓や銀杏の華やかな紅葉に比べると、少し落ち着いた風情だけれど、しっとりと静かな秋を彩るこの桜紅葉が、あたしは昔から大好きだった。

「よかった。まだそんなに葉は落ちてないわね」

一本一本ゆっくり見て歩いて、全部の木が見渡せる岩に腰掛ける。

数日前から、たまに(たまーに、よ)抜け出しては見に来てたんだけど、葉が落ちる前にちゃんと見ておきたいじゃない。

まだ大丈夫だとは思ってたけど、万が一見頃を見逃したりしたらくやしいもの。

後悔だけはしないように、会いに来てみてほんとによかった。

目を閉じると、葉擦れの音が心地よく胸に響いてくる。

まるで、どこかの森の中に迷い込んでしまった気分だわ・・・。

―――ふと、この景色を初めて見つけたあの日の事を思い出す。

新三条邸に移ってしばらく経った頃、父さまも高彬も、誰だかの宴に招待されていない事があった。

結婚以来何だか慌ただしかったから、久しぶりにのんびりした気持ちになってさ。

ぼーっと庭なんか眺めてる時に、そういやあたし、まだ自分の部屋しか知らないんじゃないかって事に気付いたの。

そう、気付いちゃったんだから、仕方ないでしょ?

それで父さまがいないのもチャンスとばかりに、新三条邸探訪に出かけたのよ。

まあ寝殿造なんてどこも似たようなもんだから、当然、新三条邸の造りも殆ど以前と変わらない。

南庭の様子も遣水の流れも見慣れた風景だったんだけど、植木の配置なんかが少し違ってるのは、目新しかったっけ。

何よりどこもかしこもピカピカの新築で、真新しい柱や、床の白木がキレイでさ。

御簾や几帳からいい香りがするのも、とっても気持ちがよかったのよね。

そして一通り見て回って部屋に戻ろうと、少し遠回りして東の端まで来た時に、この桜の木々を見つけたのよ。

ほんとにびっくりしたわ。

新緑の葉が青空を覆うようにつやつやと輝いて、ここが屋敷の中だなんて信じられない位だった。

こんなの絶対、前には無かったもの。

三条邸の端から端まで知り尽くしてる、このあたしが言うんだから間違いないわ。

その時、半ば呆然と空を見上げながら、ふと疑問に思ったの。

なんでこんな誰も来ないような庭の隅に、たくさん桜が植えてあるんだろうって。

数えてみたら12本もあるのよ。

そりゃあ現代では、花と言えば桜なんだから、貴族のお屋敷には必要不可欠、絶対植えてあるものよ。

実際、他の場所にもあったしさ。

だけど、一つの場所にこんなにたくさんって事はなかった。

何か意味があるのかはよく分からなかったけど、その時から一番のお気に入りの場所になったのだった。



<瑞月・著>



葉擦れの音を聞きながら、三条邸の庭を歩く。

木々は色付きを濃くしてきていて、確実に秋は深まっているようである。

吹き抜ける風はひんやりとしていて、ついこの間まで夏の暑さに悩まされていた筈なのに、季節なんて本当にあっと言う間に巡ってしまうものらしい。

──さて、瑠璃さんは一体どこへ行ったものやら・・・

いったん、立ち止まり考える。

釣殿にもいない、南庭にもいない、車宿りにもいない、厩にもいない・・・となると、どこだろうか?

後は瑠璃さんが立ち寄りそうなところと言ったら女房部屋だけど、だけどわざわざ庭に下りて行くわけがないし、何よりも今、女房は全員、瑠璃さん探しに奔走しているわけで、もぬけの殻の女房部屋に行く意味がないだろう。

仕方ない。しらみつぶしに庭を回っていくしかないか。

これはお説教時間、二割増し決定だな。

歩き出そうとして、ふと考える。

右に行くか、左に行くか───

右に行けば東から回ることになり、左に行けば西から回ることになる。

地面に目をやると、思ってた通りの手頃な平石があった。

都合の良いことに、片面に特徴的な模様がある。

すばやくルールを決め親指で真上に弾き飛ばすと、クルクルと回りながら平石は落下してきて、それを両手の平で受け止める。

手を外して見ると、平石は特徴的な模様を上にして収まっていた。

───東からだ。

回れ右で歩き出す。



*******



三条邸の庭は広く「東の庭」と一口に言ったって、一見に見渡せるようなものではなく、取りあえずは一番遠くの、つまりは築地米に近い方から回ることにした。

本当だったら「瑠璃さーん」と名前でも呼びながら探したいところだけど、奇襲攻撃を仕掛けるならやはり不意打ちをねらいたい。

きょろきょろと辺りに目を配りながら歩いているうちに、さっきよりも葉擦れの音が大きくなってくる。

風でも出てきたのだろうか。

ふと秋の庭には不釣り合いな鮮やかな色が目に飛び込んできた。

足音を忍ばせ近づいて行くと、案の定、瑠璃さんの後姿で、更に近づいて行き声を掛けようと口を開きかけたところで足を止めた。

「・・・・・・」

そうか。瑠璃さんはここにいたのか───

瑠璃さんは頑強そうな岩に腰掛けており、その瑠璃さんの目線の先にはたくさんの桜の木がある。

数えなくったって判る、桜は12本だ。

さきほどの葉擦れの音は、どうやらこの桜の木が鳴らしていたようだった。

一歩、足を踏み出すと、どうやら小枝でも踏んでしまったのか、その音で瑠璃さんが振り返った。

そうしてぼくを見ると

「あら、おかえりなさい。早かったのね」

と、にっこりと言う。

「・・・・・」

まったく・・・・

全く本当に瑠璃さんには敵わない。

色々おかしいだろ、その言葉。

せめて弁明や言い訳をするとか、もしくは少しは焦ってくれるとかでもすれば、ぼくもスムーズに説教がしやすいと言うのに、全く悪びれもせずに、まるでここがいつもの部屋であるかのごとく「あら、おかえりなさい」と言ってくるとは・・・・

すっかり気勢を削がれてしまった。

気が付けば、説教どころか

「風が冷たくなってきたよ、寒くないかい?」

なんて言いながら、ぼくは瑠璃さんの隣に腰掛けていたりして、まったくぼくは瑠璃さんに甘いのだった。

「ねぇ、高彬、見て。こんな所にこんな立派な桜の木が12本もあるのよ」

桜を見上げながら瑠璃さんが言い

「うん」

「不思議だと思わない?」

「不思議だね」

「・・・・・・」

ふいにぼくの方を見たたかと思ったら、そのまま訝し気に眉を寄せている。

「な、何だよ、瑠璃さん。そんなにじろじろと」

「・・・何かおかしいわ」

「え」

「高彬。あんた、不思議だと思ってないでしょ」

「え」

「何か知ってることがあるんでしょう、桜のことで」

「・・・いや、別に・・・」

「正直に言わないと部屋に戻らないわよ」

どういう脅し文句だよ、と思いつつ、まぁ、部屋に戻ってもらえないのは困るし、何よりも特別に隠すようなことでもないので、ぼくは話すことにした。

「話す前に聞くけどさ。瑠璃さんは全然覚えてないの?」

「この桜の木のことで?」

「うん」

「桜ねぇ・・、うーん・・・」

首を傾げながら言い、考え込んでいる。

「ヒントを上げるよ。裳着だ」

「裳着?」

「うん、まぁ、正確には裳着の少し前、かな」

「うーん・・・」

考え過ぎで瑠璃さんの頭から湯気でも出そうだったので、答えを言う事にする。

「瑠璃さん、裳着をひどく嫌がっていただろう」

「えぇ、それは覚えてるわ」

「それで、年が明けたら裳着だって言う頃にさ、多分、今くらいの季節だったかな、瑠璃さんがふいに部屋からいなくなったことがあったんだよ。『瑠璃さん失踪事件』とぼくは呼んでるんだけどね」

「失踪事件・・・」

「それで散々、皆で探し回って、結局ぼくが見つけたんだけど、瑠璃さん、桜の木の前でしゃがみ込んで泣いてたんだよ」

「・・・どうして泣いてたの」

「それはぼくには判らない。ただ、泣きながら、『裳着はイヤだ』『京なんてつまらない』『吉野には桜があった』なんて、途切れ途切れに言っていたけどね」

「・・・・」

「それでぼくが『桜なら庭にもあるよ』って言ったら『一本じゃだめ』って言ってさ、『じゃあ、何本あったらいいの』て聞いたら・・・」

いったん、言葉を切る。

「聞いたら・・?」

「『12本!』って」

「・・・なんで12本だったのかしら」

「さぁ。多分、12歳だったからじゃないかな。いかにも思い付きで言ったって感じだったから」

「・・・・・」

本当に何も覚えてないのか、瑠璃さんは俯き考え込んでいる。

しばらくすると顔を上げた。

「それはまぁ、わかったわ。でも、それとこの桜はどういう関係があるの?」

正面から聞かれ、答える前に恥ずかしさを追いやるため、少しだけ息を整えた。

「それは・・・」

「うん」

「新三条邸を造る時に、ぼくが内大臣さまに申し上げたんだよ」

「え・・・」

「12本欲しいって言われた時から、どうにかならないものかって考えてたし、でも、そう簡単に12本なんて植えられるわけじゃない。一から邸を建てるのは、またとないチャンスだったからね」

「・・・・それならそうと、教えてくれたら良かったのに」

「どっちでもいいって気持ちだったんだ。瑠璃さんが泣いてた理由も判らなかったしね」

風が吹き、また桜の葉を揺らす。

「庭の隅にある桜の木に、瑠璃さんが気付いてもいいし、気付かなくてもいい。何て言うか『12本!』って叫んだ、あの時の瑠璃さんの望みを叶えてあげたいって言うか・・・いや、違うな。瑠璃さんの望みを叶えてあげたいと言う、ぼくの望みを叶えたかった・・・。うん、そんな感じかも知れないな」

瑠璃さんはまん丸の目でぼくを見ている。



<あさぎ・著>



「あんたって・・・」

驚きのあまり声も出ないわ。

『瑠璃さん失踪事件』だなんて言われても、正直言って全然覚えてない。

自慢じゃないけど吉野から帰った後って、しょっちゅう庭に下りては皆を困らせてたもの。

それにしても、そんな昔の事を覚えてるだけでもびっくりだけど、「瑠璃さんの望みを叶えてあげたいと言う、ぼくの望みを叶えたかった」だなんて、一体どんな発想なのよ。

フツーの公達なら、「あなたの望みを叶えてさしあげたくて」→「それほどわたくしの事を思って下さっていたなんて・・・高彬さま!」→二人ひしと抱き合う、なーんて流れになるとこよ。

それも、あたしが気付かなくてもよかったからって、桜があることも言わないなんてさ。

控えめというか何というか、相手にどうかしてよく思われようって感覚なんてないのかしら。

「・・・あんたって、やっぱりフツーじゃないわよね」

「何だいそれ?ぼくは至って普通だよ」

「そんな事ないわよ。本人でさえ忘れてるような事まで知ってるなんてヘンよ」

「失礼だなあ。瑠璃さんが忘れやすいだけなんじゃないの?」

「な、なによ。あたしだってちゃんと覚えてるわよ」

「何をさ」

「え!?ええと・・・。そう、そうよ。裳着が嫌だったって事よ」

「へぇ、それは覚えてるんだね」

とりあえず口にしただけなんだけど、高彬は興味深そうに覗きこんでくる。

「だって、ほんとに嫌だったんだもの。あんたは元服するの、嫌じゃなかったの?」

「ぼくは、嫌というよりむしろ、早く元服したいくらいだったからね」

「ふうん、そうなの?」

「で、瑠璃さんは何がそんなに嫌だったのさ」

「あ、うん。だってさ、父さまもばあやも、裳着が終わったら部屋の外には出るなから始まって、あれもダメこれもダメ。よき婿君を迎える為の花嫁修業だなんだって、ほんとにうるさかったんだから」

「そうなんだ」

高彬は何かを思い出してでもいるように、くすくす笑っている。

「そうは言っても、結局裳着はしなくちゃならないし。ま、その後はご要望通りにはできなかったけどさ」

「・・・もしかして、今でも裳着をしなけりゃよかった、なんて思ってる?」

思いがけない真剣な声の響きにふと隣を見ると、まっすぐな瞳があたしを捉えていた。

よく見慣れた涼しげな目元に、かすかな不安の色が交ざってみえる。

「そんなこと・・・」

「うん」

「そんなことはないわ」

「どうして?」

「どうしてって・・・。だって、その・・・裳着を終えなきゃ、ずっと一緒にはいられないじゃないの」

「え・・・」

恥ずかしさに耐えられず、思わず下を向く。

ちらりと隣を盗み見ると、高彬は真っ赤な顔で絶句している。

ちょっと待ってよ。聞いたあんたに赤くなられたら、こっちはどうしたらいいっていうのよ。

言ったあたしの方が、よっぽど恥ずかしいんだからね!

「・・・童の頃はさ」

高彬は照れたように笑うと、桜の木を見上げて言った。

「瑠璃さんが裳着をしなきゃいいのにって思った事もあったけどね。でもやっぱり、それじゃだめなんだって。ずっと側にいるにはどうしたらいいのかって考えてからは、早く元服したくてたまらなかったんだ」

「そうだったの」

「ちゃんと裳着をしてくれて、ほんとによかったよ」

「うん・・・」

あんまり優しい声で囁くから、何も言えなくなる。

でも、そうね。今こうして、この年になっても二人で一緒にいられるのは、裳着をして大人になったからだもの。

あたし、ほんとに知らない事がいっぱいね。

高彬がずっと前から見守ってくれてた事も、どれだけ側で支えられてきたのかも。

今もこうして、気付けばあたしの腰に腕を回して、そっと護ってくれている。

―――ねぇ、高彬。

あたし、この場所が大好きよ。

空を覆うほどの桜色も、目に眩しい新緑も、秋風にそよぐ紅葉も、木枯らしの中佇む凛とした姿も。

いつ来ても、穏やかにあたしを迎えてくれたわ。

その大切な場所を用意してくれていたのが、まさかあんただったなんて・・・。

何にも知らなかったけど、あたしは誰かに聞いた訳でも教えられた訳でもなくて、自分で見つけたのよ。

言葉はなくても、心は通じ合っている。

それって、とても素敵なことね・・・。

「瑠璃さん、見て」

「え?」

高彬の声に誘われてふと顔をあげると、風に煽られたたくさんの桜の葉が、空を漂っていた。

風の音と響き合い、流れる雲に溶けあいながら、まるでワルツを舞っているように、とりどりの紅色が軽やかに流れていく。

「きれいだね」「きれいね」

二つの声が円舞に重なって、思わず顔を見合わせる。

そして―――。

温かい両手があたしの頬を包むと、穏やかな眼差しが静かに下りて来る。

その優しい笑顔を目蓋に乗せて、ゆっくりと瞳を閉じた。




<終>


*******

桜のワルツ様12周年&新サイト開設おめでとうございます〜!

私がこちらのサイトで二次小説に出会った時は、こんな世界があったんだ!と、漫画の再連載を知ったのと同じ位に感動しました。
寝不足になりつつ、夜な夜な読みあさったものですが、同じような経験をされている方もたくさんいらっしゃるだろうなと思います(^-^)
サークル活動も含めて、これだけの長い間高彬サイトを牽引して下さって、本当にありがとうございます。
感謝の思いを込めて、瑞月さんがご提案下さったコラボ作品で、お祝いをさせて頂きたいなと思います。
また、ジャパ愛&高彬愛を一緒に深めていけたら嬉しいです。

これからも、ご無理のないペースで続けて下さいね!

あさぎ

*******

アルシュさん、「桜のワルツ」12周年&新サイト開設、おめでとうございます!
12年もの長い間、ずっとジャパネスクブログを続けられてきたアルシュさんに、お祝いの言葉と共に感謝の言葉をお贈りしたいと思います。
本当にありがとうございます。
アルシュさんの影響で二次小説を書き始めた人も多いのではないでしょうか。(私もその一人です)
パソコンの前で、ふと思い立ち「なんて素敵にジャパネスク」と検索してきたときに、「桜のワルツ」と「らぶらぶ万歳サークル」が出てきた時の感動は今でも忘れられません。
二次小説と言う言葉すら知らなかった私は「こういう楽しみ方があるんだ」と目からウロコがバリバリと落ちたのでした。

あさぎさんと春頃から「一緒にお祝いの作品をお贈りしましょう」と話していて、こうして連作のお話を作りました。
12周年にちなんでモチーフに何か「12」を入れましょう、やっぱりアルシュさんと言ったら桜ですよね、と言う感じで書き始めたのですが、本当にあさぎさんが感動的なラストシーンを用意してくれました。
(タイトルもあさぎさんに考えていただきました)

サークルとブログ、両方の運営は大変かと思いますが、これからもアルシュさんのご無理のない範囲で続けていただけたら嬉しいです!

瑞月


○瑞月さんとあさぎさんから、とっても素敵なお話をいただきまして、本当にありがとうございますv
こちらは「桜のワルツ」の12周年記念に頂いたものだったのですが、アップするのが遅れまして、大変申し訳ございませんでした。
 瑠璃さんを探しに行った高彬が、どっちへ行くのか小石で決める場面は、本当にかっこいいな〜なんて、惚れ惚れし、いざ瑠璃さんを見つけて叱ろうとしたのに、瑠璃さんに「おかえりなさい」と言われて、すっかり怒る気持ちすらなくなってしまうのも、本当に高彬らしいですよね(笑)
 そして、何よりも瑠璃さんが昔に行った言葉をずっと覚えていて、三条邸の建て直しの時に殿(内大臣さま)に進言していたとは、さすが有能な少将ですよねv
 そんな高彬の心遣いに、改めて深い絆を感じる瑠璃さんもとてもかわいいですし、何よりも誰に教えてもらうことなく、12本の桜を見つけていたっていうのも、本当に素敵ですよねv
 お二人とも、お忙しい中、こんなに素敵なコラボ作品を頂きまして、ありがとうございましたv
こちらこそ感謝の気持ちでいっぱいです。
 今後とも、高彬と瑠璃のらぶらぶでぜひぜひ盛り上がりましょうねv どうぞよろしくお願いいたしますv

 2017.3.7

posted by アルシュ at 00:41| Comment(2) | いただきもの(小説)

2017年03月02日

瑠璃&吉野君

japa.jpg


NYAJYUさまから頂きました。
漫画での1シーンが、とてもきれいなカラーでの再現です!!
幸せだったあの頃の思い出さえあれば……本当に切ないですよね。
でもこのすばらしい思い出は、永遠に忘れることの出来ない
大切な思い出として、二人の胸に刻まれるんですよね。
NYAJYUさん、ありがとうございました!!

posted by アルシュ at 14:31| Comment(0) | いただきもの(イラスト)